Webサイトの情報を国内だけでなく、海外にも発信できればいいなと考えたことはありますか。W3Techsの調査によれば、世界のウェブサイトのおよそ60%が英語で作成されています。
日本語のみで情報発信している場合、グローバルな流れに乗れず情報発信は限定的になります。事業拡大や海外からのアクセスを増やしたいと考えるなら、ウェブサイトの多言語化は有力な施策です。
また、多言語化されたサイトは「グローバル企業」としての信頼やイメージも高めます。海外ユーザーが日本語ページを見る際に感じるストレスを取り除くことで、問い合わせや購入といった行動にスムーズに結びつけられる可能性も高まるでしょう。
この記事では、Webサイトの翻訳方法、具体的には日本語を外国語にする多言語対応の方法と、外国語のサイトを日本語で読む方法をお伝えします。
Webサイト翻訳のおすすめの方法
ここでは、どの自動翻訳を使ってWebサイトを翻訳するのが良いのかをお伝えします。また具体的な翻訳の方法もお伝えするので、参考にしてください。
- Google翻訳
- Microsoft Translator
- Amazon Translate
- Myサイト翻訳
1.Google翻訳
Google翻訳は、世界最大級の検索エンジンを運営するGoogleが提供している無料の機械翻訳サービスです。
AI技術であるニューラルネットワーク翻訳(NMT)を活用しており、以前に比べて文法構造や文脈理解の精度が向上したとされています。対応言語数は100以上にのぼり、多様な言語ペアで翻訳結果を得られるのが特徴です。
ウェブサイト全体を翻訳するためのウィジェットを簡単に導入できる点も大きな魅力で、HTMLコードを数行追加するだけで、自動翻訳ボタンをサイトに設置できます。
基本的には無料で使えるため、初めてサイト翻訳に挑戦する場合でも気軽に試しやすいと言えるでしょう。大規模な企業サイトだけでなく、個人ブログや中小企業の情報発信にも広く活用されています。
おすすめの理由
まず最大の理由は、多言語展開をこれから始めたい人にとって、導入や運用が極めて手軽であることです。
Googleアカウントさえあればすぐに翻訳機能を利用できるうえ、プログラミングの知識があまりなくても翻訳ウィジェットを組み込むことが可能です。
さらに、Googleが独自に蓄積している膨大な言語データが、翻訳精度向上につながっている点も見逃せません。ビジネス用途でもおおまかな内容把握や多言語化の第一歩として十分役立つでしょう。
世界中で利用されているという安心感も大きく、「とにかくすぐに多言語化したい」というユーザーにとっては、導入ハードルの低さと実績の多さが心強いポイントとなっています。
メリット・デメリット
メリット
- 導入コストがゼロ円で、誰でも手軽に利用を開始できる
- 対応言語数が非常に多く、世界規模でサイト展開を見込める
- ウィジェット設置が容易で、専門知識がなくてもサイト翻訳ボタンを追加できる
- GoogleのAI研究により継続的に翻訳精度がアップデートされる
デメリット
- 文章が長文化すると誤訳や不自然な表現が発生しやすい
- 機械翻訳特有のぎこちなさが残るケースもあり、翻訳結果をそのまま利用するとブランドイメージを損なう可能性がある
- プライバシー面やセキュリティに対する懸念がある場合、データを外部に送ることが不安に感じられる
- ビジネス上の重要文書を扱う際は、最終的に人力で校正する手間が必要になる
Google翻訳でサイト翻訳する方法:
Google 翻訳を使用してウェブサイト全体を翻訳する方法は主に以下の2つがあります。
- Google 翻訳のウェブサイト翻訳機能を使用する方法
- Google Chromeの翻訳機能を使用する方法
1.Google 翻訳のウェブサイト翻訳機能を使用する方法
Google 翻訳のページを開きます。
上部のメニューから「ウェブサイト」を選択します。
翻訳元の言語と翻訳先の言語を選択します。
翻訳したいウェブサイトのURLを入力し、「移動」ボタンをクリックします。
これにより、指定したウェブサイトが選択した言語に翻訳されて表示されます。
2.Google Chromeの翻訳機能を使用する方法
Google Chromeには、ウェブページ全体を翻訳する機能が組み込まれています。
Google Chromeで翻訳したいウェブサイトを開きます。
ページ内の任意の場所を右クリックし、「日本語に翻訳」を選択します。
これにより、現在のページが自動的に日本語に翻訳されます。
また、Chromeの設定で「母国語以外のページで翻訳ツールを表示する」オプションをオンにしておくと、外国語のページを開いた際に自動的に翻訳オプションが表示され、ワンクリックで翻訳が可能になります。
2. Microsoft Translator
Microsoft Translatorは、Microsoftが提供する自動翻訳サービスです。多言語でのリアルタイム翻訳をサポートしており、英語・中国語など主要言語のみならず、多数の言語に対応しています。
MicrosoftのクラウドプラットフォームであるAzureとの連携を想定していることから、大規模なウェブサイトやシステムへの統合も比較的容易です。また、APIを利用してウェブサイトに翻訳機能を組み込むことも可能で、エンジニアや開発者が自由にカスタマイズできる点が特徴と言えます。
Office製品とも親和性が高く、資料翻訳やメール翻訳の延長としてウェブサイト翻訳を検討したい企業にも選ばれやすいサービスです。
おすすめの理由
Microsoft製品やサービスをすでに導入している企業や組織にとって、システム連携がスムーズであることが最大の魅力です。
マイクロソフト独自のAIリソースを活用しているため、英語以外の主要言語でも比較的読みやすい翻訳が得られるのも利点です。
ユーザーインターフェースはシンプルで、検索エンジンのような感覚で翻訳を実行できるため、初心者でもとっつきやすいでしょう。
特にビジネス用途でOffice 365やAzureを利用中の環境にウェブサイトの多言語化を追加したい場合、導入コストや管理コストを削減できるというメリットがあります。
メリット・デメリット
メリット
- Microsoft製品やAzureとの親和性が高く、企業向けシステムに統合しやすい
- AI研究の成果を活用し、英語以外の言語でも精度が安定してきている
- APIを使ったカスタマイズが可能で、大規模なウェブサイト翻訳にも対応できる
- シンプルなUIで直感的に翻訳を試せる
デメリット
- すべての言語で完璧な品質を保証できるわけではなく、専門用語が多いと誤訳が生じる可能性あり
- 無料枠を超えた場合は利用料がかかるため、翻訳ボリュームが多いサイトでは予算管理に注意が必要
- Microsoft製品との連携を考えないユーザーには、やや活用メリットが薄い場合もある
- UIや導入手順に関する日本語での最新情報が、Google翻訳ほど多くはない
Microsoft Edgeの翻訳機能を使用する方法:
Microsoft Edgeには、標準で翻訳機能が搭載されています。この機能を利用することで、外国語のWebページを簡単に翻訳できます。
手順:
- Microsoft Edgeを起動し、翻訳したいWebページを開きます。
- アドレスバーの右側に表示される「翻訳」アイコン(「aA」)をクリックします。
- 表示されたメニューで、翻訳先の言語(日本語)を確認し、「翻訳」ボタンをクリックします。
これで、ページ全体が選択した言語に翻訳されます。特定のテキストのみを翻訳したい場合は、該当部分を選択して右クリックし、「選択範囲を日本語に翻訳」を選択することで、部分的な翻訳も可能です。
3. Amazon Translate
Amazon Translateは、Amazon Web Services(AWS)の一環として提供されているクラウド型自動翻訳サービスです。ニューラル機械翻訳(NMT)を採用し、多数の言語を高い精度で翻訳できるよう設計されています。
AWSの他のサービス(EC2やS3、Lambdaなど)と組み合わせることで、大規模なウェブサイトやアプリケーションにもスケーラブルに翻訳機能を統合可能です。課金は従量制が基本で、使用した文字数やリクエスト数に応じて料金が決まるため、必要な時に必要なだけの翻訳を行えるのがメリットです。
機械翻訳によるリアルタイム変換だけでなく、一括処理にも対応しており、幅広いユースケースで重宝します。
おすすめの理由
大規模なECサイトやグローバルで展開するWebサービスを運営している方にとっては、AWSの堅牢なインフラ上でスケーラブルに翻訳機能を利用できる点が非常に大きな利点です。
Amazon Translateは、大量のデータを扱う場合でも安定稼働するように設計されているため、急激なアクセス増や翻訳リクエストの増加にも柔軟に対応できます。セキュリティ面でもAWSの規格や各種認証を満たしているため、企業や公共機関でも導入しやすいでしょう。
主要言語の訳品質は年々向上しており、英語圏はもちろん、アジア・ヨーロッパ各国向けのコンテンツ翻訳を手軽に行いたい場合に頼りになるサービスです。
メリット・デメリット
メリット
- AWSとの連携により大規模サイトでもスケーラブルに翻訳機能を統合できる
- 従量課金制で、使用した分だけのコスト負担となる
- セキュリティ・コンプライアンス面で信頼性が高く、企業や公共機関でも導入しやすい
- 多言語を比較的安定した品質で翻訳してくれる
デメリット
- AWSサービスの導入や管理には一定の学習コストと専門知識が必要
- 対応言語は増えてきているが、マイナー言語での翻訳品質はやや不安定な場合がある
- リアルタイム翻訳で大量にリクエストが発生する場合、料金が想定より膨らむリスクあり
- 専門性の高い分野では誤訳リスクが残るため、人力レビューが推奨される
Amazon Translateの翻訳機能を使用する方法:
Amazon Translateは主にAPIを通じてテキストの翻訳を提供しており、Microsoft Edgeのようなブラウザ内で直接ウェブサイト全体を翻訳する機能は提供していません。
Amazon Translateの詳細や利用方法については、公式ドキュメントや関連情報をご参照ください。
https://aws.amazon.com/jp/translate
4.Myサイト翻訳
「Myサイト翻訳」は、株式会社高電社が提供するWebサイト自動翻訳サービスです。Webサイトのデザインを維持したまま、翻訳ボタンを配置するだけでサイトを多言語化できます。
対応言語は最大130言語以上に及び、AI翻訳と文法翻訳の両方を提供しています。AI翻訳は大量のデータを機械学習させたニューラルネットワーク翻訳で、自然で読みやすい翻訳結果を得ることができます。
一方、文法翻訳は辞書機能を活用し、人名や専門用語を正確に翻訳します。また、スマートフォン対応やPDF・画像の翻訳、Webサイトの多言語音声合成にも対応しており、全国の自治体をはじめ多くの導入実績があります。
おすすめの理由:
「Myサイト翻訳」はAI翻訳と文法翻訳の2種類を提供しているため、サイトの内容や目的に応じた最適な翻訳方法を選択できる点でおすすめです。
メリット・デメリット:
メリット
- AI翻訳により、自然で読みやすい翻訳結果が得られる。
- 文法翻訳では、辞書機能を活用し、人名や専門用語を正確に翻訳できる。
- 最大130言語以上に対応していて、多言語展開が容易。
- Webサイトのデザインを維持したまま多言語化が可能。
- スマートフォン対応やPDF・画像の翻訳、音声合成にも対応。
デメリット
- AI翻訳では、原文にない情報が訳文に現れる可能性がある。
- 辞書のカスタマイズやチューニングに手間がかかる場合がある。
Myサイト翻訳の翻訳機能を使用する方法:
「Myサイト翻訳」では、法人向けに無料お試しサービスを提供しています。公式サイトの「無料お試し」ページから申し込みが可能です。利用を検討される際は、公式サイトからお問い合わせや資料請求を行い、詳細な情報を確認されることをおすすめします。
https://mysite-ai.jp/flow-plan
Webサイト翻訳で絶対注意すべきこと
Webサイトの自動翻訳も日々活用されています。
しかし、その自動翻訳の精度はまだ完璧ではなく、誤訳のリスクが常にあります。特に、Webサイトは企業や製品の情報を正しく発信する必要があり、多言語化の際には正確な翻訳が求められます。
誤訳が原因で企業・製品の信用を失ったり、意図しない誤解を生んだりする可能性があります。それを避けるためにも自動翻訳の結果をそのまま使用するのではなく、適切なチェックと修正を行うことが重要です。
誤訳のリスクを低減するためにはポストエディット(自動翻訳後の修正作業)が必要です。人の目と手を加えることで、自動翻訳された文章はより正確で伝えたい文章にできます。
Webサイトの多言語化の際は、自動翻訳で出力された文章をそのまま使うのではなく必ず人によるチェックも入れるよう気を付けましょう。
まとめ
ここまで、Webサイトを多言語化する際に役立つ自動翻訳ツールとして、Google翻訳、Microsoft Translator、Amazon Translate、Myサイト翻訳の4つを紹介しました。
その翻訳も従来の「単純な置き換え」に比べ、文脈を考慮したり、表現をより自然にする工夫が施されています。
選択の際にはまず、翻訳の「正確さ」「コスト」「導入の容易さ」「対応言語の範囲」の4点を軸に考えてみるとよいでしょう。
たとえば、大規模サイトで英語圏以外のユーザーを積極的に取り込む場合には、幅広い言語に対応できるGoogle翻訳やAmazon Translate、Myサイト翻訳などが向いています。Microsoft製品を導入している企業であれば、Microsoft TranslatorとAzureとの連携によって効率的な翻訳が可能です。
公式情報や重要な契約書などを外国語に翻訳する際には、人力での最終チェックを忘れずに行うことが大切です。翻訳メモリや用語集を整備し、サービス選択のメリットを最大限活かすことで、高品質な多言語サイトを運用できるようになるでしょう。


この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム
翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。