Yarakuzen
Yarakuzen

2024 年 9月 12 日

翻訳メモリとは?メリットや使い方について解説

translation memory

 

翻訳メモリは、過去の翻訳を記録して、必要な時に再利用できる効率的なツールです。同じフレーズや類似文が再び登場した際、自動的に以前使用した翻訳を提案します。翻訳の作業時間とコストを大幅に削減し、用語の一貫性が向上します。

製品説明書など、新商品が更新されるたびに統一した用語で再翻訳する必要がありますが、翻訳メモリを使うと一度翻訳した文章を再利用できるため、時間とコストを大幅に削減することが可能です。

本記事では、主要な翻訳メモリサービスの比較と、翻訳メモリのメリットと使い方について詳しく解説します。

【目次】

 

翻訳メモリとは

翻訳メモリ(TM、Translation Memory)は、コンピュータ支援翻訳(CAT)ツールで使われるデータベースの一種で、過去に翻訳したフレーズや文を保存し、再利用するための技術です。簡単に言えば、翻訳作業の中で同じか似たような文が再び出てきたときに、過去の翻訳結果を呼び出して使うことができるツールです。

 

 

翻訳メモリを使用するメリット

翻訳メモリを使用するメリットを「コスト削減・納期短縮」と「文言の統一化」の2つのポイントから詳しく説明します。

 

コスト削減・納期短縮   

同じ文や類似の文が繰り返し出現する場合、新たに翻訳する必要がないため、その分の作業が不要になります。例えば、毎年更新される製品カタログや技術マニュアルを翻訳する場合、毎年新しく翻訳する箇所はごく一部だけで済みます。

他にも、100%一致ではないけれど、過去の翻訳に近い「ファジーマッチ」が発生すると、その文全体を翻訳するのではなく、微調整だけで済みます。この微調整にかかる時間はゼロから翻訳するよりもずっと短いので、その分の作業時間も短縮できます。

 

文言の統一化

特に技術翻訳や法律文書のように、特定の用語が非常に厳密に使われる必要がある場合、翻訳メモリは重要です。例えば、ソフトウェア関連で「menu」や「button」といった単語が使用される時は、常に同じ訳語を使用するべきです。「menu」をある箇所では「メニュー」と訳し、別の箇所で「一覧」と訳してしまうと、文言の統一が出来なくなります。同様に、「button」も「ボタン」、別の箇所で「アイコン」といった違う表現を使うのは避け、統一された訳語「ボタン」を使うのが良いでしょう。翻訳メモリは、以前に使用された正しい用語を自動的に表示します。

また、マーケティングや広告の翻訳では、企業のブランドメッセージやキャッチフレーズが一貫していることが重要です。例えば、製品のキャッチフレーズの「信頼性と革新」を「Reliability and Innovation」と翻訳している場合に、別のドキュメントで「Trust and Change」と翻訳されていると、メッセージの内容が異なってしまいます。翻訳メモリはこのような翻訳の不一致を防ぎます。

 

 

翻訳メモリと翻訳支援ツールで効率アップ

翻訳支援ツールは、翻訳メモリ(TM)を使い、原文と翻訳文のペアを保存して再利用することで、効率アップを実現します。ここでは、翻訳メモリツールを徹底比較しましょう。

 

 

【徹底比較】翻訳メモリツール

主要な翻訳メモリツールの特徴とメリットを表でまとめました。

 

サービス名

特徴

メリット

Trados Studio

・高機能なプロ仕様のCATツール

・多言語に対応

・様々なファイル形式に対応

・産業翻訳に強い

・強力な翻訳メモリ機能

・豊富なプラグイン

・大規模な案件に最適

MemoQ

・使いやすさと柔軟性が特徴

・協同作業に強い

・クラウドベースのソリューション提供

・直感的なインターフェース

・クラウド環境での共同作業がしやすい

OmegaT

・オープンソースのCATツール

・シンプルなインターフェース

・軽量なアプリケーション

・コミュニティによるサポートと開発が活発

・完全無料で使える

・軽量で高速

・オープンソースのツールためカスタマイズ可能

 

・Trados Studio

Trados Studioは、高機能なプロ仕様のCATツールで、翻訳メモリや用語集の管理、機械翻訳との連携、翻訳プロジェクトの進行管理など幅広い機能を搭載しています。

多言語対応や、さまざまなファイル形式のサポート(Word、Excel、PDF、XMLなど)に対応しています。

 

メリット

・強力な翻訳メモリ機能:高精度なTM機能で、部分一致(ファジーマッチ)にも優れた対応が可能。企業向けの大規模プロジェクトに最適です。

・豊富なプラグイン:翻訳プロセスをさらにカスタマイズできるプラグインが多数あります。

・翻訳品質の向上:機械翻訳(MT)と人間の翻訳をシームレスに連携できるため、品質を保ちながら効率を高められます。

 

・MemoQ

使いやすさと柔軟性が特徴の翻訳支援ツールで、使いやすいUI(インターフェース)が特徴です。クラウド環境での共同作業がしやすく、プロジェクトの進行管理がスムーズに行えます。

 

・メリット

直感的に使える:翻訳初心者でも使いやすいデザインで、学習曲線が緩やかです。

協働翻訳に最適:プロジェクトを複数の翻訳者で共有し、リアルタイムで更新する機能があり、チームでの翻訳作業に特に便利です。

様々なファイル対応:さまざまなファイル形式に対応しています。

 

・OmegaT

OmegaTはオープンソースの無料CATツールで、誰でも自由に利用できる翻訳メモリツールです。シンプルなインターフェースで、基本的な翻訳メモリ機能を必要とするライトユーザー向けです。

 

メリット

・無料で使える:ライセンス費用が一切かからないため、コストを気にせず利用できます。

・軽量で高速:大規模なインストールが不要で、容量も軽いので軽快に動作します。

・拡張性あり:オープンソースなので、開発者がプラグインを作成したり、独自に機能を拡張できます。

 

 

AI翻訳ツール「ヤラクゼン」で効率化

「ヤラクゼン」は、AI技術を活用した翻訳プラットフォームで、翻訳作業の効率化を目指した設計を行っています。ヤラクゼンの大きな特徴は、翻訳ツールに詳しくない担当者でも簡単に使えるUI(ユーザーインターフェース)と、フレーズ集の活用、さらには他のツールからのデータ移行が簡単に行える点です。

 

・シンプルで誰でも使えるUI

 

高度な翻訳ツールは多機能なため使い方が難しく、翻訳担当者以外のユーザーへ使用方法を教育するのが大変、というデメリットがありますが、ヤラクゼンは直感的でシンプルなUIを備えており、翻訳の専門知識がない方でも簡単に使える設計にしています。そのため、現在高機能なツールから移行を検討している企業様にも魅力的な選択肢となります。

 

・フレーズ集の活用

phrase register

ヤラクゼンでは機械翻訳の結果にユーザーが登録する「フレーズ集」と「用語集」が適用された「パーソナライズ翻訳」が出力されます。「フレーズ集」を活用すると、よく使う定型文や専門用語を簡単に管理し、翻訳精度の一貫性を維持できます。

また、翻訳結果はどのように訳されているか一目で把握でき、その後の自動翻訳結果を人間が修正・編集するという作業も一連して行うことができるため、作業効率が大幅に上がります。

 

・他ツールからもヤラクゼンに登録可能

ヤラクゼンはTMXファイル形式に対応しているため、他社ツールで使用していた翻訳メモリや用語集・フレーズ集を簡単にヤラクゼンに登録可能です。今までの翻訳資産をヤラクゼン内でそのまま活用できるため、ツールの切り替え時でもデータをロスすることなく、スムーズに移行できます。

 

 

翻訳メモリを社内で活用するには

翻訳メモリ(TM)は、社内で翻訳作業を効率化し、コスト削減と翻訳精度の向上を実現するために非常に有効な機能です。翻訳メモリを効果的に活用するためには、使いやすいツールを導入し、現在の翻訳資産を活かしながら、翻訳の一貫性を確保することが重要なポイントです。

直感的で使いやすい翻訳ツールを導入し、社内全体の翻訳作業の効率化とコスト削減を実現させましょう。

 

ヤラクゼンでは、まずは多くの方にツールの使い勝手を試していただくために、14日間の無料トライアルをご利用いただけます(※カンパニープラン対象)。

 

トライアル終了後に自動で有料に切り替わることはないので、まずはシンプルで使いやすいヤラクゼンを体験してください。

 

free_trial_banner

 

WriterTeam

この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム

翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。