Yarakuzen
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2024 年 10月 01 日

AI翻訳のデメリットを解消して効果的に翻訳する方法を解説

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とても便利なAI翻訳ですが、デメリットとして、セキュリティ面のリスクや専門用語の誤訳、文章の正確性などの課題はまだまだ多いのが現状です。これらの問題を把握せずにAI翻訳を使用すると、重要な情報漏洩や誤解を招く翻訳結果につながり、ビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性もあります。

本記事では、AI翻訳の基本的な仕組みと主要ツールの特徴、AI翻訳のメリット・デメリットを詳しく解説します。

 

【目次】

 

AI翻訳の基本的な仕組み  

AI翻訳は、私たちの日常生活やビジネスシーンで頻繁に利用されるようになりました。普段何気なく使用しているAI翻訳ですが、その便利さの裏側にある仕組みは、意外と知られていません。AI翻訳でのメリットを考える前に、まずはAI翻訳がどのような仕組みやプロセスで翻訳を行っているのか、AI翻訳の基本的な仕組みを解説します。

 

AI翻訳とは何か 

AI翻訳とは、人工知能(AI)技術を活用して、ある言語から別の言語へと文章を自動的に変換するシステムで、正式名称は機械翻訳(Machine Translation)です。この技術の中核には、「ニューラルネットワーク」と「ディープラーニング」があり、これらにより高度な言語理解と生成が可能になっています。

 

AI翻訳の仕組み 

AI翻訳の仕組みは、主に3つのアプローチに分類できます。

 

①ルールベース型:言語の文法規則や単語の対応関係を人間が事前にプログラムに組み込む方式です。

②統計ベース型:大量の対訳データを統計的に分析し、最も確率の高い訳を選択する方式です。

③ニューラルネットワーク型:人間の脳の仕組みを模倣した人工神経回路を用いて、入力された文章の意味を理解し、別の言語で表現する方式です。現在の最先端のAI翻訳はこの方式を採用しています。

 

ニューラルネットワーク型の中でも、特に注目されているのがディープラーニングを活用した手法です。ディープラーニングは、ニューラルネットワークを使用して、より深い層で複雑な特徴を学習する技術です。ディープラーニングを用いたAI翻訳は、文脈や状況、話者の関係性を考慮し、最も適切な英語表現を選択できます。これは、大量の対訳データと実際の使用例を学習することで、言葉の持つ微妙なニュアンスや文化的背景までも理解しようとしているからです。

 

例えば、 "I love you" を英語→日本語に翻訳する場合、文脈や文化的な要素も考慮して「愛しています」や「好きです」など、状況に応じた適切な訳を選択します。

 

他にも、日本語独特のあいさつの「おつかれ様です」は、

仕事を終えた人に対して: "Thank you for your hard work"(ご苦労さまでした)

退社する時のあいさつ:"See you tomorrow"(また明日!)

 

など、AI翻訳はますます精度が向上し、日常のコミュニケーションツールとして重要な役割を果たすようになっています。ただし、これらはまだ完璧ではないため、特に専門用語や極めて文脈に依存する表現の翻訳には課題が残っています。

 

AI翻訳の主なメリット

AI翻訳の主なメリットは以下の3点です。

 

①クオリティが担保出来る:AI翻訳は、一定のルールに従って翻訳を行うため、翻訳される文文章のクオリティが担保できます。翻訳担当者のスキルに依存せず、安定した翻訳を行えます。

②翻訳のスピードが速い:人間の翻訳者と比べて、AI翻訳は瞬時に結果を出力できます。例えば、数百ページの文書でも数分で翻訳が完了します。

③コストを削減出来る:Google翻訳やMicrosoft Translatorなどの無料サービスがあり、24時間365日いつでも利用可能です。

 

ただし、AI翻訳にも欠点があります。例えば、文脈や文化的なニュアンスの理解が不十分な場合があり、特に技術用の文書など専門分野の翻訳は人間の翻訳者の方が優れています。

そのため、重要な文書や微妙な表現が求められる場合は、AI翻訳の結果を人間が確認・編集する後編集(ポストエディット)が必須となります。

 

 

AI翻訳の主なデメリット3点

ここまで、AI翻訳の仕組みやメリットについて述べました。非常に便利なツールである反面、セキュリティリスクや専門用語の誤訳といったデメリットも存在します。主なデメリットを3点挙げます。

 

1. データの二次利用によるセキュリティリスク

データの二次利用によるセキュリティリスクは、AI翻訳サービスを利用する際に最も重要な懸念事項です。特に無料のAI翻訳サービスでは、ユーザーが入力した文章データを、学習に利用している可能性があり、これは大きな問題を引き起こすかもしれません。

 

翻訳のために入力されたテキストがAIモデルの改善や他の目的で再利用され、個人情報の漏洩、機密情報の流出、知的財産の保護の問題、さらには法的問題などのリスクが生じます。

 

過去には、無料翻訳ツール「iloveTranslation」で重大な情報漏洩事故が起きました。ユーザーが翻訳のために入力した内容が、意図せずインターネット上に公開されてしまったのです。漏洩した情報には、政府や金融機関の機密文書、弁護士と依頼人のやりとりなど、非常に機密性の高い内容も含まれていました。

この事故の主な原因は、翻訳サイト側のセキュリティ設定の不備です。サイトには「翻訳サービス改善のため、サーバーに検索結果を保存する」という説明があり、これに関連するチェックボックスがデフォルトでオンになっていました。ユーザーがこのチェックを外さずに翻訳すると、その内容が保存され、検索エンジンを通じて誰でも閲覧できる状態になっていたのです。

参照元:翻訳サイト経由で情報漏洩、「利用禁止」だけでは解決しない:日経クロステック

 

このようなリスクを回避するために、特にビジネスでの使用では、セキュリティが保証されたAI翻訳サービスが必要不可欠です。セキュリティが保証されたサービスでは、データの二次利用に関する明確な方針、データの暗号化、厳密なアクセス制御、明確なデータ削除ポリシー、関連法規制へのコンプライアンス、そして独立した第三者機関による定期的な安全性の監査などが記載されています。

 

2. 専門用語や業界特有の表現は課題

AI翻訳の技術は近年急速に進歩していますが、専門用語や業界特有の表現の翻訳に関しては依然として課題が残っています。一般的なAI翻訳サービスは、日常会話や一般的な文書の翻訳には優れた性能を発揮しますが、特定の分野や業界に特化した内容の翻訳では限界があります。

 

例えば、医療分野での翻訳を考えてみましょう。「腹腔鏡下胆嚢摘出術」という専門用語をそのまま無料のAI翻訳ツールに入力すると、「laparoscopic cholecystectomy」という正確な英訳ではなく、「abdominal endoscopic gallbladder removal」のような一般的な説明に近い訳が出力されてしまう可能性があります。これは医学的に正確とは言えず、専門家間のコミュニケーションでは問題になる可能性があります。

 

主要なAI翻訳サービスにも、それぞれ得意とするジャンルがあります。

 

・Google翻訳:一般的な日常会話や文章、多言語対応が強み

・Microsoft Translator:ビジネス文書や技術文書の翻訳、Office製品との連携が強み

・Papago:アジア言語間の翻訳、特に韓国語と他言語間の翻訳に強み

 

ただし、どの翻訳エンジンも完璧ではなく、特定のジャンルでは誤った翻訳を行ってしまうリスクを抱えている可能性があります。

 

そのため、上記のような専門用語はフレーズ集などを活用し、表現を適切な訳にする必要があります。合わせて、AI翻訳と人による後編集(ポストエディット)を組み合わせるハイブリッドアプローチも効果的です。

 

つい先日も、米トランプ前大統領の2度目の暗殺未遂事件に関するハリス氏がXに投稿した「I am glad he is safe. Violence has no place in America.」の文言が、ニュース番組で「彼が無事でよかった。アメリカに暴力は存在しない」と訳され、内容の誤りを指摘する声がSNS上であがりました。(正確には、「アメリカでは暴力は許されない/暴力が入り込む余地はない」などの訳が正しいとされています)

弊社エバンジェリストの山田優氏はこの件に関して、Abema PRIMEに出演し、「翻訳には、何を伝えたいかの「命題」と、どう伝えたいかの「モダリティー」の2要素が必要だ。状況や経緯をAIに理解させていないと、意味は合っていてもニュアンスが違うなど、AIの“誤訳”が生まれることもある。」と見解を述べています。

また、上記のような誤訳を防ぐために「個々の誤訳に対して、NG表現をリスト化して、1対1で対応させることは可能だ。ある程度は統計的に処理しても、最後で個別に置き換えることができる。できない場合には、発信者が確認する責任を取るところに落ち着いてくるだろう」とも述べています。

出典元:進化するAI翻訳でも“誤訳”なぜ起こる?発展途上のAI×人間が出来ることは?専門家が解説ABEMA TIMES)(Yahoo!ニュース

 

3. 正確性に欠ける

今まで解説してきた通り、AI翻訳の技術は進歩していますが、ビジネス文書の翻訳では完璧な結果を得るのは困難です。特に外部向けの文書では、高い正確性が求められるため、AI翻訳だけでなく、人間によるダブルチェックと後編集(ポストエディット)が必要不可欠です。

 

 

AI翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」で自動翻訳のデメリットを解消

ここまで解説してきた通り、一般的なAI翻訳ツールにはいくつかのデメリットがありますが、これらを解決するのがAI翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」です。

 

ただし、人間によるチェックとポストエディットは時間と労力がかかります。そこで、上記の課題を解決するため、ヤラクゼンが開発されました。ヤラクゼンは、ユーザーが登録する「フレーズ集」と「用語集」をベースに自動翻訳されます。そして、その自動翻訳を人が編集することで、さらにフレーズ集や用語集が登録され、次の自動翻訳に活用されます。使えば使うほど、ユーザーごとに学習していく新しいAI翻訳プラットフォームです。

 

データの二次利用なしでセキュリティも万全

ヤラクゼンでは、データセキュリティを最優先事項として扱っています。弊社が利用する翻訳エンジンは、すべて個別契約に基づいており、データの二次利用のリスクを完全に排除しています。

加えて、各顧客のデータは独立して管理されるため、他のユーザーによる不正アクセスを防ぎます。さらに、パスワードなどの機密情報はデータベース内で強力な暗号化が施されており、高いセキュリティ対策を実施しています。

 

また、弊社は情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO27001認証を取得しています。ヤラクゼンは技術的側面だけでなく、組織的な取り組みを通じて、顧客データの保護と情報セキュリティの確保に万全の体制を整えています。

 

 高精度な翻訳エンジンで専門用語の翻訳にも対応可

 ヤラクゼンは、特許、IRなど各専門分野の翻訳エンジンの他にも、カスタマイズ可能な用語集・フレーズ集の機能を備えています。ユーザーの翻訳スタイルに応じて用語集・フレーズ集が自動的に学習されていくので、使えば使うほど翻訳の精度が上がります。一度設定すれば、次回以降は自動的に学習済みの用語が反映されていくため、作業効率もアップします。また、それでも難解な部分がある場合は、部分的に外部の翻訳会社に外注することも可能です。

 

AI翻訳と人のハイブリッド翻訳で修正作業を効率化

ヤラクゼンは、翻訳する前後の文を同時に表示出来るので、簡単に前後文を比較して、編集が可能です。さらに、チェックアシスタント機能が修正すべき箇所を自動的にハイライトし、色分けで表示してくれるため、英語に不安がある人でも簡単に誤りを見つけられます。

翻訳の実務経験に関わらず、誰もが効率的に高品質な翻訳を行えるようにサポートしています。AIの精度と人間の判断力を組み合わせることで、翻訳プロセス全体の質と効率を大幅に向上させています。

 

 

「ヤラクゼン」で安全に翻訳業務を行おう

セキュリティを重視した安心な環境で、かつ高精度で翻訳業務を行いたい場合は、ぜひヤラクゼンをお試しください。以下からお申込みいただくと、セキュリティが保証されたカンパニープランを2週間無料でお試しいただけます。

トライアル終了後に自動で有料に切り替わることはないので、まずはシンプルで使いやすいヤラクゼンを体験してください。

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WriterTeam

この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム

翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。