こんにちは、八楽の佐藤です。
最近、風邪で喉が痛くなってしまいました。どうやら流行っているようですね。
半年ほど前、まだスウェーデンにいた頃、同じように喉がとても痛くなったことがあります。
ところで皆さん、風邪などで「ちょっと」体調を崩した時、どうしていますか?
病院へ行くかどうかのボーダーラインが、日本とスウェーデンでは大きく異なっていることをご存知でしょうか?
※ちなみに写真は、私が当時スウェーデンで実際に買ったトローチのようなものです!
風邪から見える文化の差
小さい頃、母親から教わったことの一つに「風邪薬は、市販薬より処方薬を飲むとよく効く」というものがあります。これも手伝ってか、私は長い間、「体調が悪くなったら病院へ」という考え方を普通だと思っていました。これだと少し語弊があるかもしれませんのでもっと具体的に言うと、「少しくらいなら自分で適当に(市販薬や食べ物などで)治すが、長引いたり、熱が出るようなら病院へ行った方がいい」ということです。実際に時間がとれて病院へ行くかどうかは別として、風邪(と思われるもの)については、大体このように考えていました。きっと、多くの日本の人と、そうズレていない考え方・行動なのではないかと思います。
この考え方を「日本人らしい」と指摘したのはスウェーデン人の友人です。スウェーデンでは、病院へかかることへのボーダーが、日本と比べてとても高いように思います。「熱が高い」「喉がとっても痛い」「頭痛が酷い」…勿論ケースにもよるのですが、こういうのは大抵病院ではなく「薬局」に行きます。そこで薬を選んだり、アドバイスをもらったりして自分で治します。当たり前に聞こえるかもしれませんが、人々の持つ「病院に行くべきかどうか」の判断基準が、日本にいる時より明らかに、遥かに高い。誤解しないでほしいことは、これが別に、「具合の悪い状態でそのまま過ごす」わけではないということ。「具合悪いけど、病院行かないで、市販薬だけで会社来ちゃったよ!」という、”実は病院に行くべき状況なのに行かなかった”という考え方を前提に成り立っているような、よく見る状況とは全く別です。
じゃあどういうことかというと、これを端的に表しているフレーズがあります。それは、”Drink water, take a rest.”(水を飲んで、しっかり休みなさい)。文字通り、水を飲んで寝ていれば大抵よくなりますよ、という考え方です。私の周りだけだったのかもしれませんが、スウェーデンでお医者さんにかかった友人の殆どが、ドクターにこの言葉を言われて帰ってきました。
上に書いたように、私の友人の一人が、これをスウェーデンと日本の違いの一つとして認識していました。彼女いわく、「スウェーデンでは、具合が悪くて休むことを、人々は普通だと思っているよ。でも日本では、違うのかもしれないわね。日本はもっと忙しくって、風邪でもなんでも”すぐに”治さなくちゃならないから、薬が必要なんじゃないかしら?」
彼女の言葉を聞くまでは気付かなかったのですが、確かにこれは的を得ている部分があると思います。薬を使うか使わないかの差は、「どのくらいすぐに、普段通り/普段に近い状態で動けるようになるか」ではないでしょうか。スウェーデンはそこに時間をかけることを良しとしており、日本ではその傾向が弱い、というふうに見えてきます。この点に関して言えば確かに、スウェーデンは、時間をかけることに対して寛容な国柄だと思います。スーパーに行くだけでよくわかりますが、レジなどで、人々は「よく」待ちます。この「よく」は、「しばしば」の意味合いではなく、「イライラしないで平気で待っている」ということ。スウェーデン出身のまた別の友人が「スウェーデン人は”待てる”人たちなのよ!」と誇らしげに話していたこともあります。時間をかけることに対する考え方みたいなものが、風邪の治し方からも垣間見えるのは面白いことだなと、当時思ったことを覚えています。
「日本は忙しい国だ」「北欧は時間の流れ方がゆったりしている」など、単体で耳にすることはよくあるかと思います。それらを別のものと繋げてみると、また別の面白さが出てくるのかもしれません。